ただいま、私の王子様。




「美織っ!!」

「あ、かなえ、おはよ…」

昨日よりも、心なしか弱々しく見える。
美織の目は、真っ赤に腫れていた。きっと、家に帰ってからもまた泣いたのだろう。

「…ごめんね」

いたたまれなくて、ついついそう呟いてしまった。

「香苗が謝ることないじゃん。全部私が悪いんだからっ…」

「美織は悪くないっ!!!」

「…え?」

「蛙化なんて仕方ないことだし、正直、あたしも辛さはわかんない。…でもさ、ずーっと好きで、大好きでたまらなかった人と、ようやく付き合える!ってなったのに嫌になっちゃうなんて、相当辛いことだなって思うよ!!クラスの奴らなんて、ファンクラブの奴らなんて、気にすんな!!」

言い終わり、顔を上げると、美織はぽろぽろと涙をこぼしていた。

「え、ちょ、ごめん―」

「ありがとう…」

「え…?」

「私っ、香苗がいなかったら、何もできてなかったからっ…」

「そんな、お礼なんて…いいよ。美織自身が頑張ったことだもん。それに、本当にいい人選んだね。ラインでも言ったけどさ、美織のこと、ずっと待ってるって言ってたよ」

「私のこと待ってるって…先輩が?」

「他に誰がいんのさ」

「そう…なんだ…」

「この話は終わり。ほら、もう泣き止んで?遅刻するよ。急ごっ!」

「…うん!」


大丈夫。あたしが美織を守るから。
二人でいれば、怖くない―