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「おいー、咲良ー。迎え来たぞー」

「んん……」

どれくらい寝てたんだろう。

聞き慣れた声に目を開けると、
なんとそこにはりゅうちゃんがいた。

「え!?りゅっ、りゅうちゃん!?」

学校帰りなのか、制服姿のりゅうちゃんが
私の眠るベッドに腰かけた。

休日よりも髪型のセットに気合いが入っててかっこいい。

「なんでここに!?高校は?」

お母さんが迎えに来るんじゃないの!?

「いや、おばさん急に仕事入っちゃったみたいでさ……頼まれたん︎︎だよ。高校は早退してきてやったよ」

「え!?ほんとに、?」

「嘘。たまたま早帰りだっただけ」

切れ長の目が、そっと私を見つめた。

「もーっ!からかわないで!」

「それより大丈夫か?」

「…っ、」

​───── それより大丈夫か?​─────

が何度も頭の中でリピートする。

尋ね方がいつもの何百倍優しい!

これでもかと眉を下げて下げて心配そうに私の顔を覗き込んでくるりゅうちゃん。

思わず胸がキュン!となる。

「だ、だ、だいじょ……ぶ、だって…っ」

「それにしてもお前は本当……手がかかるなぁ。昔なんか、ミルク飲んだあとゲップばっかしてたぞ?」

それからりゅうちゃんは
「ほんっと、しょうがねぇやつだったぜ」と
半笑いで小馬鹿にしたように言った。