夜の帳が降りる、鋭いネオンの光が闇を貫き、サイバーパンクの街が息づいていた。それは20XX年の未来。しかし、この物語の主役、少年はまだ誕生する前だ。彼の名前は何も持たず、ただ未知の存在としてこの世に現れる。
彼が生を受けたのは、荒廃したエリアの片隅にある小さなアパートだった。両親は疲れ果て、街の犯罪や貧困に押し潰されていた。少年は生まれた瞬間から過酷な現実に直面し、その育ち盛りの心に闇を運んでいくことになる。
学校は少年にとって地獄のような場所だった。仲間たちは彼を無視し、からかい、時には暴力に訴えた。彼は抵抗する力も言葉も持たず、日々の辛さに耐えるしかなかった。
家では親との喧嘩が絶えず、暴力は日常茶飯事だった。彼の両親は酒と薬物に溺れ、その苦しみを少年にぶつけた。7歳になる誕生日、少年はもうこれ以上、この家に留まることはできないと決断した。
夜の闇に身を包み、少年は家を出た。背中にはリュックサックに詰めた少しの食べ物と母親の手紙があった。手紙には涙で滲んだ文字で「ごめんね、君を守れなくて」と書かれていた。彼は母親の手紙を握りしめ、未知の街へと足を踏み出した。