左小指のピンキーリングは素敵な恋を引き寄せる


「さくら、どういう事?」


「あっ、あのね……」



カフェで財布を忘れて立て替えた事を舞子に話した。



「へぇ、よくさくらの事を知ってたね」



「やっぱり、背が高くて目立つのと一緒にいる女子に言った時に覚えてたのかな(笑)」



2限目を終えると舞子と別れてさくらは体育館の方向に向かう。



遥海くんが先に待っていた。



白のジャージのポケットから1000円札をだす。

直接入れてるの?


財布持たない人かな?




「はい、ありがとう、助かった、無銭飲食になるところだった」


さくらは1000円札を受け取ったが……



「佐野くん、足りないよ(笑)」


「え?」



「彼女、パンケーキセットを食べてたみたいよ」



あの日のレシートを渡す。



「はぁ?テーブルにはコーヒーカップしかなかったじゃん」



「食後のコーヒーだったみたいね」



ポケットからまた1枚1000円をだした。



おつりを200円だそうとすると、いいと言われた。




全くあいつは……といいながら長い髪をかきあげるとキリッとした二重の目が見えた。



かっこいいのにな、暑くないのかな髪の毛…と勝手にさくらは考えていると遥海くんのお腹がぐぅっーーーとなった。



「あー、腹減った〜、金なくなったし」とその場にしゃがんだ。



「それならやっぱりこれ」と200円を渡した。



部活前のパンだな、サンキュと座ったまま髪の毛をかきあげながら独り言を言っていた。