左小指のピンキーリングは素敵な恋を引き寄せる


さくらが浴室から出てくるとソファで横になってボーッとテレビを見ている遥海くんの姿があった。


さくらに気づくと起き上がった。



「さくら、パソコンある?」



「寝室にあるよ」



「さくらと見ようと思ってた映像があるんだ、家にパソコンないから持ってきた」



「テレビじゃダメなの?」



「プレイヤーある?」



鞄からディスクをだした。



さくらに渡す。



「え、これって」



「去年のインターハイ」



「見ていいの?」



「見せたくて持ってきた(笑)パソコン買ったら見返したくて実家から持ってきてたんだ」




テレビの裏側からDVDを入れると2人で見始める。



「この時のダンクかっこよかったよね」




さくらは嬉しそうに解説してくれる。



さっきまで興奮してたのに、急にさくらは話さなくなった。



「さくら?」



「……何回観ても泣いちゃう……」



「何回って、映像持ってんの?」


「決勝戦、少しだけ携帯で録画してるの」



携帯を見せた。



「遠いし、5分くらいだけどね、グスッ、あっ!」



さくらは雑誌を部屋から持ってきた。




「このカメラマンさん凄い綺麗に遥海くんのシュート撮影してて私のお気に入りなの……あっ」



ボロボロとまた涙が出てきた。



「ごめ、ごめんなさい」




遥海は手でさくらの頬を触ると自分の方に引き寄せた。



「泣くなよ、可愛いけどさ」



「遥海くん、私……遥海くんの力になりたいの、遥海くんのバスケが見たいの、ダメかな?」





「充分なってるよ」


頭をポンポンとなでてくれる。


優しい……




「足が治るまでここに住まない?」



「それは……さくらにめい……」




「迷惑じゃない、大学も近いしバイトも出来るかどうか病院行ってみないとでしょ?」




「そうだけど……そうなると生活費がさくらに負担になるし、俺、ずっとさくらといたら我慢できなくなりそうだし」



「ご飯を作ってあげたい……ん、我慢?って?」