ピンポンと玄関のインターホンが鳴りどうぞと鍵を解除した。
ドアを開けて遥海くんを家に入れる。
「昼食べた?」
「いや、帰って急いで来たからまだ」
いつも同じ部活のジャージを着ているから中のTシャツが変わったくらいしかわからないけど、遥海くんの中では普通なんだろうな。
部活はほぼ毎日あるしジャージは必需品てことはわかるけど、練習前にみんな着替えるんじゃないかな〜
意外とめんどくさがりやかな。
さくらは1人で可笑しくなった。
「パスタでいい?」
「うん」
「2人前くらい食べれるよね?」
「いいの?」
「茹でるのは一緒だから全然、ちょっと待っててね」
遥海くんはカウンターに座った。
「向こうでテレビ見ててもいいよ」
「さくらの料理する所、見るの好き」
ニコッと笑う。
「恥ずかしいよ」
「……さくらはさ、大学楽しい?」
「まあ、それなりに?遥海くんは楽しくないの?」
「……」
「遥海くん?」
「うーん、正直に言うとつらい……」
「え?つらいの?」
「思ってたのと違ったというか、こんなにお金に困るとは思わなかったし、それが悪循環でさ、食べなきゃやっぱりしんどいし、部活の休みもないから体も休まらない、こんなはずじゃなかった、入学して半年で体調壊して気付いた事かな」
上を向いて考えながら話している。
「じゃあしっかり食べて部活頑張って」
パスタをテーブルに置いた。
「すげー、いただきます」
フォークを器用に巻いていく。
「こんなの、お店のパスタじゃん、さくらってすげえな」
あっという間に平らげてお皿を洗ってくれた。
「朝の歯ブラシいい?」
「いいよ」
「俺さ、さくらに何かしてあげたいんだけど、何かない?」
「うーん、そう言われても……私が勝手にやってる事だからね」
さくらはしばらく考えた。



