空気を変えるように、先輩が話を戻す。
「で、合宿って、どこでする気だ? お前達の家じゃあないんだろ」
「うん。………この家を使わせてよ」
雷地が側の荷物を指差して、準備はできていると親指を立てた。
「今や我々は当主の座を勝ち取ろうとせん同士だ!」
「合同訓練だよ。悪い話じゃないでしょ」
確かに、一考の余地ありだ。
一般人な私はともかく、先輩には、歳の近い彼らとの訓練はとても魅力的でもある。
先輩も顎に手を当て、断るのは惜しく思っていそうだ。
しかし、簡単に頷くわけにはいかない。
「なんでこの場所が分かった」
火宮の家を訪ねるならまだしも、他人であるはずの天原の家を訪ねられたのだ。
しかも訓練に使うなど、一般家庭に不釣り合いな言葉ではないか。
「タケミカヅチに聞いたよ」
「イワナガヒメに聞いたのだ」
契約式神に聞いたらしい。
誰が話したんだろう。
『オモイカネでしょ』
ツクヨミノミコトが失礼な事言ってくる。
イカネさんはそんな事しません。
「高位の神は全てを見ている。対策もせず逃れられると思うな」
「そうなると、響は警戒心が強いよねぇ。ほとんど居場所が分からない」
「………まあね」
『そりゃあ、響少年はほとんど私の提供した空間にいるんだから、簡単には見つからないさ』
ツクヨミノミコトが提供した空間で何をしているかは、藪をつつくことになるのは想像に難くない。
てか、いつの間に連絡をとったんだろう。
『きみには教えてあげないこともないけど?』
知らないほうが幸せってこともある。
聞いてしまえば、恐怖の実験に繋がりそうな予感がした。
『………だね』
それよか、イカネさんに罪をでっち上げようとした事は許すまじ。
『冗談じゃん。すぐ見破られる嘘なんてノーカンだよ』
嘘ゆったな。
後でみっちり話し合おうと決意したところで、リビングの扉が開いた。
新しい来客だ。


