まじないの召喚師3






ふ、と意識を取り戻し、瞼を開く。

カーテンの隙間から光が差して、室内をほんのりと照らしていた。

枕元の時計を見ると、12時を少し過ぎたところだった。



「寝過ぎた」



最後に時計を見たのは、良い子の寝る時間前なので、12時間以上寝ていたことになる。

気づいてなかったけど、よほど疲れていたに違いない。


気分爽快寝起きスッキリ平和万歳。

冬休みに突入している今、私の眠りを妨げるものはない。

まあ、臨時休校が長引いて冬休みになったから、特別って訳じゃないんだけどね。


布団から手を伸ばし、カーテンを開くと。

満天の星と銀色の大きな月を背景に、銀髪美少女ロリータ人形の周りを倍以上の大きさのシャボン玉が浮いていた。



「……………………ん?」



虹色に輝くシャボン玉がぶるぶると震え、触手のように伸びるそれを、光の速度で回避するロリータ人形。

地上から銀色の線が複数走ったかと思うと、ロリータ人形を襲うシャボン玉が破裂し、虹をつくる。

次の瞬間には、ダイヤモンドダストのように輝き、虹とともに霧散した。

空中に残り、静止するツクヨミノミコトの視線の先。


地上は、吹雪だった。

正確には、イカネさんの目の前だけが、竜巻のように渦を作り、吹雪いている。

時折その中に、かすかに人の姿が見えたが、すぐに吹雪に埋もれる。


イカネさんが腕を振ると、吹雪は圧縮され、大きな雪玉となる。

オオクニヌシが太くて大きな木材を振り回し、それは空へと打ち上げられた。

少しして、名残のように武器やお札が落ちてきたが、イカネさんの側に控えていた美青年スサノオノミコトとアメノウズメの振り回す刃で粉々に砕かれ、その屑もスクナヒコナがひょうたんから放った水のベールに阻まれ、イカネさんに届くことはなかった。


ぼうっと彼女たちを見ていると、私の視線に気付いたイカネさんが、微笑んで手を振ってくれた。

私は手を振りかえして、カーテンをそっと閉め、布団に潜る。


すごいものを見た。


瞼を閉じると、先ほどの美しい戦いが再生される。

揺れも、音も感じなかった中。

窓越しに映像だけがながれていた。

目が覚めなければ、見ることができなかった。


興奮でもう眠れる気がしなかったけど、いつの間にか眠りに落ちていた。