3人でまったり過ごして、夜ご飯は大量生産された岩石おにぎりをおじやにして振る舞った。
ツクヨミノミコトが昼の分を取り戻すようにおかわりしてくれたおかげで、岩石おにぎりはもれなく消費された。
以外には、特筆すべきこともなく。
早々にベッドに入り、まどろんでいたところで、家が大きく揺れた。
「いたっ………!」
枕元のスマホが降ってきた。
「敵襲だよ」
ツクヨミノミコトが教えてくれたが、私は掛け布団を引き上げる。
昔は飛び起きていたものだが、ここ数ヶ月で、ずいぶんと慣れてしまった。
「敵って、どうせ先輩達でしょう。ツクヨミさんが先輩たちを怒らせるから、こんなに荒い帰宅になるのでは?」
「………違う」
「先輩たちじゃあない」
スサノオノミコトが青年の姿をとり、剣を構える。
ツクヨミノミコトも、冗談を言っている様子はない。
いつもと違う空気に、私は布団に包まりながら体を起こした。
「イカネさん」
呼べば、目の前に人間離れした美貌の碧の瞳と金の長髪。
「ここに」
先輩たちが留守の今、この家を落とされるわけにはいかない。
留守でなくても、私の家は私が守るべきものだ。
しかし、私の力では大切なものひとつ護れない。
味方がいないのなら、喚べばいい。
幸い、私に力を貸してくれるひとはたくさんいる。
イカネさんの登場と同時に、目の前に浮いたお札を掴み、唱える。
「急急如律令」
お札は一瞬光を放った後、ここ最近で見慣れた3人に変わった。
「主、ご命令を」
イカネさんが跪き、私に問う。
他の3柱も、イカネさんの後ろに控え、跪いた。
「私の………」
私の家を襲う人たちを追い払ってください。
と、言おうと思ったが、やめた。
むしろ、破壊を伴う先輩たちがいないから、家を無傷で守れるのでは?
ここにいるのは、凄腕の神様達。
だからちょっとだけ、調子に乗ってしまった。
「………私の眠りを妨げる者を排除なさい」
後から考えると、とても偉そうだったと思う。
きっと、おやすみ前で、正常な思考ができなくなっていた。
厳かな空気に飲まれてしまった。
頭に血が上っていた。
いくつか理由をあげられるが、言い訳はいい。
冗談だよって、すぐに訂正しようとした。
でも。
「かしこまりました」
深々とこうべを垂れたイカネさんが嬉しそうだったから、言ってよかったと思う。
まず3柱が消えてから、スサノオノミコト、ツクヨミノミコト、オモイカネが順に姿を消した。
襲撃者の対処に行ったのだろう。
私は祈るように手を組み、布団に潜った。
それからは、私が眠りに落ちるまで、息吹ひとつ感じられない、静かな夜だった。


