まじないの召喚師3



「嘘っ………!」



思わず悲鳴があがる。


頭を潰されて生きているはずがない。

決して他人ではない、身近な人の最期が、こんな………。


見殺しにした罪悪感が腹の奥を重くする。



「………」



肩に乗るツクヨミノミコトがそっと頭を撫でてくれる。

私を慰めたいのなら、生き返らせなさいよ。


睨みつけるようにツクヨミノミコトの方を見ると、その向こうに立つ黒い影。



「ひいぃぃぃぃっ!」



驚いて、幽霊を見たように叫びを上げ、逆隣の先輩にしがみついてしまった。



「…………殺したのはおじさんを操ってる人だ。そこのおじさんでもなければ、薄情な同盟者でもない」



その影は、ゆらりとこちらに歩み寄る。

目を逸らさず、先輩を盾にできるよう移動した。



「おい」



「………死んでないけど」



よく見るとそれは、ゴシックロリータな眼帯美少女響君で。



「………え!?」



おじさんの足元には、頭が潰れたゴスロリ服の響君。

私の目の前にも、ゴスロリ服の響君。

おじさんの足元と、目の前の彼を交互に見る。



「んんん?」



どうなってるの?



「響得意の幻覚だよ」



響の隣には、ロリータ柚珠が誇らしそうにしていた。

そのパステルカラーだった服は、ところどころ汚れたり破けたりして、元の色を失っている。

マネキンに囚われている方の柚珠を見ると、顔も無ければ髪型、服さえも安っぽい。



「いつの間に!」



おじさんの操る二体のマネキンに両腕を掴まれている、ただのマネキン。

それに気づいたおじさんは柚珠を睨みつける。



「初めからアンタはマネキンを人質にしてたってワケ。こんなに可愛いボクと響をマネキンと見間違うなんて、失礼なおじさんだよっ」



「桃木野の変態が、やってくれる」



「おじさんって、ほんっと失礼」



柚珠がおじさんに両手を向ける。



「ニセモノとはいえ、響の頭を踏み潰してくれた借りもあるしぃー」



柚珠の霊力が膨れ上がり、彼のスカートが浮く。

おじさんの足元に転がっていた観葉植物が枝葉を伸ばし、おじさんを一瞬で簀巻きにした。



「さあっ! キリキリ吐いてもらうんだからねっ」



カツカツと靴音をたてて、柚珠はおじさんに迫る。



「クソッ! お前一人なら我の敵ではなかったというのにブウッ!」



「なぁにぃー? 聞こえないなぁ」



柚珠はおじさんの顔面を踏み潰す。



「ガッ! ブッ! ゴボ! ゴフ!」



何度も何度も、歯がこぼれ落ちてもやめない。



「おい、柚珠。その辺にしろ。このおっさんは一般人だ」



「関係ないんだけど」



「可愛い靴が汚れてるよぉー」



「すでに汚されてるの! 高かったんだからねっ! 服の恨み!」



見かねた先輩と雷地が説得を試みるが、火に油を注ぐ結果となった。