話を戻して。

チャイムが鳴り、担任が教室に入ってきた。



「おはよう、全員揃っているな」



臨時の長期休み明けで半分寝ている生徒もいたが、気持ちやつれた担任は気にすることなく話を続ける。



「もうすぐ校長先生の話が始まるから、静かに聞けよー」



それに対する生徒の反応は様々。



「何の話だろ」



「どうせ無駄に長いんだろ」



「めんどくさい」



「体育館に集められるよりマシでしょ」



不満をこぼす者。



「…………チッ」



「………っしゃオラ」



机の陰でケータイゲーム機を操作する者。



「…………ぐー」



厚みのある鞄を枕に、寝る体勢に入る者。



担任はそれを注意するでもなく教室を出ていき、やがて放送が始まる。

私も寝る側だったので、ところどころ朧げであるが。


曰く。

先日の登山。

地蔵の祟りによって崖から落ちた生徒達は、慢性的な身体の痺れが残っただけで、命に別状はなかったらしい。

これを受けて学校側は、来年からの合同登山を廃止するとのこと。



各教室から嬉しい悲鳴があがった。

地蔵を蹴飛ばした不届者達が生徒のヒーローになった瞬間だ。

そのヒーロー、体を引きずりながら登校していたとクラスメートの誰かが話していた。


そんな痛ましい事故を受けて、本日生徒ともども学校全体でお祓いを受けることにしたらしい。



そこで記憶は途切れ、気づけば授業が始まっていた。