部屋割りは、2階に先輩、私、響。
3階に雷地、常磐、柚珠で隣り合った部屋となった。
先輩の上の部屋が雷地、私の上が常磐、響の上が柚珠となる。
上の部屋を希望する3人と、どこでもいい私たちで、ちょうど良かった。
上3人はさらに戦いで決めたらしい。
早速地下稽古場が役に立った。
さて、自室に荷物を運び込み、再び集合したリビングにて。
我々は、ローテーブルに広げた受験申し込みを書いている。
ペンを滑らせる音と子供達の寝息だけが聞こえる室内で。
「班長は俺でいいよね?」
「ダメに決まってんでしょ」
雷地の一言を柚珠が切り捨てた。
「どーして? 同盟発案者は俺だよ。俺にはリーダーになる権利があるよね」
「権利はここに居るみんなが平等にもってるでしょ。だから、キミはボクに譲るべきなんだよ」
「それこそ横暴だよねー」
雷地と柚珠が睨み合う中に、常磐が入る。
「なら、部屋勝負で勝った俺が……」
「たった一回ボク達に勝ったからって、いい気にならないで。ここが森ならボクが勝つ」
「だが、お前らは俺に負けただろ」
「それはもう終わった事だよ。いつまで昔の勝ちを引きあいに出すのかな?」
「ハッ、何度やっても俺が勝つさ」
三つ巴で火花を散らす彼らを見ていると、不思議に思う。
「なぜに皆さん、そんなにリーダーをやりたがるんでしょうか?」
私ならそんな面倒な事、絶対やりたくないわ。
疑問に答えてくれたのは先輩だ。
「対等と言われる五家の中にも上下関係がある。今彼らがやってるのは、五家の代理戦争だな。この同盟で優位をとったほうが、後に上に立つだろう」
「……僕の世代の話になるから、引けない」
響も静かに闘志を燃やしていた。
先輩も響も、不祥事を起こした五家だから、強気には出られないのだろう。
しかし、上位を虎視眈々と狙っている。
「五家と関係ない人がリーダーになったら、解決しそうだね」
「ハッ、そしたら五家は平等だな。だが、そんな都合よく……」
先輩の言葉が、不自然に止まる。
「………なんですか?」
「……いたな、都合よく」
「………え?」
背中を冷や汗がつたう。
一触即発な3人の会話に、先輩が割って入った。
「間をとって、こいつをリーダーにしようぜ」
指差されたのは、私。
実は勘違いで、後ろに誰が居るかなーって振り返っても、誰もいない。
指差されたのは、間違いなく私だ。
あんな質問、しなけりゃよかった。
助けを求め響を見ると、頷かれた。
「……僕も賛成」
こいつら、自分が不利にならない方向で利を得る為に、私を人身御供にしようとしてやがる。


