「ツクヨミノミコト」
鈴を転がすような可憐な声が、騒音の室内に響いた。
「………オモイカネ、居たんだ…………」
「うふふ。主様の呼び出しに応じ、参上しました」
「まったくこの子は、いつの間に腕を上げたんだろう」
「それでこそ我が主君というもの。さあ、その身体を返しなさい」
「んー。でも私には、こいつらの口止めという任務があるんだよ。オモイカネは月海の秘密がバレたままでいいのかい?」
「それは、月海さんが決めることですわ」
「だそうだよ、月海。言ってやってよ、あいつらを片付けろって」
身体は乗っ取られたまま、私は口だけを動かす。
「隠し通さなきゃいけないってことはないと思う。いやあの、隠し通せるならそれに越したことはないんだけど、難しいのは分かってるし。ただ、面倒なことになりたくないだけで、秘密にしてくれるなら……」
私の辿々しい、的を射ない言葉も、イカネさんは正しく受け取ってくれた。
「彼らには、話し合いの余地がありますわ。ねえ、桜陰さん」
「……そうだな」
「ちっ、残念。先輩もそう言うなら仕方ないね」
指揮を止めると、滅びの歌も止まる。
半透明な響の魂も、口から肉体に戻った。
「きみたち、月海と先輩に感謝するんだね」
契約式神に庇われて、青い顔で震える少年たちを見下ろし、ツクヨミノミコトは深いため息をついた。


