まじないの召喚師3



「あれれー。オカマがいるんだけど」



「当主に刃向かった愚か者がお揃いで。……兄さんが呼んだの?」



男の娘に嫌悪を隠さない天才的な美少女、天原咲耶と、爽やか笑顔で見下してくる美少年、火宮陽橘だった。



「底辺同士、お似合いだね」



陽橘の言葉に、ここにいる全員が殺気立った。



「………陽橘、なんでここに」



殺気を隠す努力をしながら、隠しきれない鋭い視線を向ける先輩の問いに、咲耶が動じることなく仁王立ちで答える。



「アタシがアタシの家に帰ってきて何か悪いの?」



逆に悪くないとでも思ってるのか。

むしろ、我々を火宮の屋敷から追い出した張本人に向かって、また追い出しに来やがったと警戒するのは当然のことだと思うのだが。



「お姉さんに用があったんだ」



「私に?」



用事があるほど親密な関係とか無かったはずだけど。



「はいこれ」



陽橘に大きめの茶封筒を投げ渡された。

どうせ碌な物じゃないと思いつつ、中を見る。



「今度、兄さんやそこの人たちが受ける試験の応募書類」



「本当は、ハル君が通ってるような専門の学校の卒業生しかもらえないものを、アタシのお姉ちゃんだからって無理言って、火宮家の権限で貰ってきてくれたんだから。感謝してよね」



「あ、これ兄さんの分」



陽橘がもうひとつの茶封筒を先輩の顔面に投げつけたのを、先輩は危なげなく片手で受け取った。



「じゃあね。せいぜい余生を楽しんで。行こう咲耶」



「うんっ。お姉ちゃん、逃げないでねぇ」



咲耶は陽橘の腕にに腕を絡ませ、リビングを出て行った。

玄関の扉が閉まる音を聞き届けてから、雷地がニカッと笑った。



「とにかくこれで、俺達の提案を断る理由も無いよね」



先輩に、ついでに私も、受験が決定してしまったのだ。

こんな状況で断るなら、相応の理由がいるだろう。



「………そうだな。よろしく頼む」



「一緒に頑張ろう!」



常磐が慰めるように、不服そうな先輩の背をたたく。



「ふーん。きみがアレの姉かぁ」



「平凡ですみません」



柚珠に品定めされるように見られて、私は愛想笑いをつくる。



「………相手がコノハナサクヤヒメの生まれ変わりなら仕方ないって」



響のフォローが切ない。

そりゃあ、美人神の生まれ変わりに敵うなんて夢みてないけど。

この空間の美形率を見よ。

咲耶に劣らない顔の良い集団の中にひとり迷い込んだ凡人が私よ。

とっても居心地が悪いわ。



「ねえねえ、妹に始末されそうになるって、どんな気分?」



「それは………」



答えづらい事を聞いてきやがる。

泣きたくなっていると。



「やっぱり君たち、あの時の仮面のふたりだね」



雷地に指摘され、涙も引っ込んだ。