それでもそう感じてしまったのは、私に問題があったんだと思う。


 結局、環境だけでなく、私自身がどう感じるかが大事なんだと思った。


 私が楽しいと思わないと、意味がない。


 だとしたら、私にとっての“楽しい”を見つけていくほうがいいに決まっている。


「それに、私だって、どんなときでも夏川先輩の傍にいたいんですよ」


 すると、夏川先輩は照れて、私から視線を逸らした。


 その横顔が愛おしくて、私はスマホで先輩の写真を撮った。


「……今、撮った?」
「いつも先輩がしていることです」


 先輩は言葉に困って、なにも返してこなかった。


 こうして先輩と過ごす時間が増えて、私のフォルダは先輩との思い出で染まりつつある。


 見返すたびに、幸せな気持ちになる、幸せの宝箱。


 こんなにも幸せな世界があるなんて、知らなかった。


「先輩、今日はどこに行きましょうか」


 私が笑いかけると、穏やかな笑みが返された。




〈了〉