「ねぇ、色彩のバースのやつ、優香ちゃんの学校では習った?」
「うん、習ったよ」

 言えないけれど、高瀬とは同じクラスだから、同じタイミングで習っている。

「やってみない? 手を繋いで太陽の光にかざすやつ」
「えっ? 私と? いいけど……」

 高瀬が運命の相手なわけがない。
 そう思いつつも手を繋ぎ、ふたりの手を光にかざしてみた。

 あれ? 一瞬光った?
 違うな、多分光の反射かな。

 高瀬が僕の手を強く握り、手を離そうとしても離してくれない。
 力が僕よりも強くてビクともしない。

「あ、あの、手を……」
「今は教科書に書いてあったような反応はなかったけど、運命の相手だったらふたりの手の周りが輝くらしいよね?」
「……そうらしいね」
「一ヶ月周期で数日間、手をずっと繋いでいたくなるらしいよね」
「うん、そうみたい」
「もうすでにこの手を離したくない……」
「えっ? でも反応はなくて……」

 すごく真剣な表情でこっちを見てきて、僕の心臓の音がドクドク……って、急に早くなった。足湯のせいもあるのかな? 顔がぼうっと熱くなる。どうしようってなって、視線を足元に落とした。

「……いや、ごめん」

 そう言いながら、慌てた様子で高瀬は僕の手を離した。