エイティーンの契約婚

この奇跡的なひとときは、電車の到着と共に終わるかと思ったが、乗り込んでからも横並びで話した。そこそこの乗車率だったので立った状態だけど。

「どうやったら良い点取れる?」
「うーん……苦手なところを繰り返し復習することじゃないかなぁ」
「やっぱりそうだよな。苦手なところはどうしても後回しにしてしまうんだよな」
「それは――」

その時。
電車が揺れて、手すりや棒に掴まっていなかった私はぐらっと横に揺れた。

「きゃ……」

高林君が軽く……本当に軽く肩を抱いて止めてくれた。

「だいじょう……」

それただけなのに私、火をつけられたのかというほど熱くなってしまって。
炙られているのかというほど、顔も体もまっ赤っかで。
耳まで熱くて。
鏡なんて見なくても分かるくらい。

おさまって、お願い。
気づかないで、お願い。

でもその祈りはむなしく、驚いて息を呑む音がはっきり聞こえた。そして、思いっきり顔を横に逸らされた。

「……俺、ここまでだから。……じゃあ!」

高林君はこちらに向かず、逃げるように降りて行ってしまった。

恥ずかしい。
消えたい。
何も言えなかった。
絶対へんな子って思われた。
絶対きもちわるいって思われた。
絶対すきだってバレた。

天国から地獄へ、気持ちが一瞬で堕ちた。

せっかく話せたのに。
……最悪だ。