エイティーンの契約婚

教室内を見渡すが北条君はいない。
休みになると誰かしら会いに来るらしいから、どこかに逃げてるのかもしれない。

『一緒に行く』

え?
びっくりしてすぐに返事をうつ。

『隣のクラスに従姉妹がいます。
その子経由でみんなにバレてしまいます』

舞香ちゃんに知られたらすぐにこの学校中に知れ渡る。それは北条君にとってよくないことなのではないか。
だって私だよ、相手。
いくら契約でも嫁とか思われたくないでしょう。

だから相手は誰とか詳しくは言わずに事実だけを伝えようと思って……。
別に親じゃないから、相手までは報告の義務もないし……。

『従姉妹については考えがある。伯父さんには隠しておけないから最初から開示すればいい』

伯父さまに隠しておけないのはその通りだけど……。

『ひとりで行くの不安だろ?』

返事を返せないでいると、追撃がきた。
そりゃあ不安だよ。
舞香ちゃんはいつも通り遊びに行って夜までいないと思うけど、今日はおばさまもいるし、昨日みたいなことにはさすがにならないだろうから……。

『橋田さんをいやらしい目で見てる人がいるところに、ひとりでなんか行かせられない』

あの日、叫んでいたのを聞いている北条君は、私がどんな目に遭っていたか少なからず知ってるから、こう言ってくれてるんだ……。