エイティーンの契約婚

「ごめんなさい……!」

私が彼女にここまで嫌われる理由。
小学3年生の多感な頃から家族じゃない人間が、家という絶対的なパーソナル空間に存在していて、邪魔だったよね。
理不尽に思ったよね。
本当は家族水入らずでいたかったよね。

「ごめんなさい、ごめんなさい……!」

だから私が舞香ちゃんに言えるのは、いつもその言葉だけ。
私なんかが生きててごめんなさいって、何度も何度も頭を下げるだけ……。

「あんた見てるとイライラすんの!」

それで気が済んだようでトイレからいなくなった。

舞香ちゃんの言う通り、私はあの家に住人として帰るつもりはもう二度とない。

伯父さまに、結婚の報告をしなきゃな。
このまま何も言わずにさようならとはいかないし、書類や残りの遺産をもらわなくては。教科書とか荷物も置いてある。

でも、どう考えてもすんなりもいきそうにないから、気持ちが鉛のように重たくなる。

昼休み、私は教室でほのぴとごはんを食べる。今日は寝坊でお弁当を作れなかったから、購買で買ったメロンパンとソーセージパンをかじる。

「やべ、お茶なくなった。買ってくるわ」
「一緒に行こうか?」
「すぐ帰ってくるから美桜は食べてて!」
「うん!」

ほのぴが購買に飲み物を買いに行ってる間、北条君にラインを送った。

『今夜、伯父さまに結婚した旨を伝えに行ってきます。北条さんとのことはもちろん言いません』