エイティーンの契約婚

「私たち、遅刻してます!」
「え? 嘘?」
「本当です! もう10時すぎてます!」
「ほんとだ」

スマホを見て目を丸くしている。

「ま、俺はよく遅刻するし」
「そうなんですか?」
「うん。遅刻魔、早退魔で有名だと思う」

その遅刻魔、早退魔に2年間テストで一度も勝てなかった私ってなんなんだろう……。

「橋田さん、先行って。一緒に遅刻はまずい」
「そうですね」

色んな意味でまずすぎる。呪われる。

私は慌てて準備を始める。
だだっ広い洗面化粧台に立って顔を洗って髪を整える。

昨夜から気づいていた……というよりそもそも隠す気がない。

スキンケアグッズをはじめとした女の子のグッズ。
お風呂場にもシャンプーやトリートメントなど、明らかに女の子が持ち込んだんだなって銘柄が。

噂に違わぬモテっぷりで。

私たち夫婦は自由恋愛らしいけど、やっぱり北条君は不倫するんだろうか……するんだろうな。

仕事に影響出ない程度に好きにしたらいいけど、間違えてキスとかは本当にやめてほしい。二度としないでほしい。そういうのは北条君が大好きな女の子たちにしてあげたらいいと思う。

結婚1日目から先行き不安定だなとか今後どうなるんだろうなとか考えながら準備をする。

そして『アキナさん』って誰だろう。
……好きな人?
なんとなくそう思った。
なんとなく、特別そうな響きだったから。