「記念写真とか、撮る?」
「いえ! 必要以外のことはしなくてもいいのではないでしょうか。それに契約事項に写真撮影はないかと」

全力で遠慮した。だってそんな物的証拠、わざわざ残さなくてもいいと思ったから。

「そう言わずに、せっかくだから撮っとこうよ」
「え!?」
「人生振り返った時、こんな時もあったなーって笑えるよきっと」

スマホを自撮りモードにして近寄ってくる。

「はい、笑って」
「え、え、え」
「笑って、もっとだよ」

スターとツーショット……?
顔面偏差値が浮き彫りになるし、笑えないよ?
どんな顔をすればいいの?

ポーズをとって画面を覗く。
うわ、顔の大きさ同じくらい……!?
こんなに身長は違うのに……!?

やっぱり無理と言おうとするが、無情にシャッターは切られてしまって。

「写真送るからライン教えて?」
「……はい……」

QRコードでラインを交換。
すぐにしゅぽ、と音がして『REN』から写真が届いた。

笑っているような、ひきつっているような。
小慣れた感じの北条君に対して、変なダブルピースポーズな私。
……なんとも微妙な映り。

「さて、家に帰るか。部屋用意するよ」
「……はい……!」

橋田美桜――本日から18歳、成人。
そして本日から1年、北条美桜になります。