忍び込んでいる私たちは教室を出て、こっそり校門へと向かう。

「職員室まだ明るいよなぁ。頑張ってんな、せんせーたち」
「本当ですね」

校門に辿り着くと、背の高い北条君は軽やかな身のこなしで向こう側に降り立った。

校門は鉄製で高さは1.5メートルくらいあって高い。さきほどと同様に足を引っかけたりしながら必死に登ったはいいが、ドタっと着地して転んだこともあって飛び降りるのが怖くなってしまっていた。

門にまたがったおかしな状態で止まる。

「? どうした? コンパス?」
「……こ、こわくて……」
「うそだろ? 降りるより登る方が断然難しくね?」
「そうなんですけど……」
「高所恐怖症?」
「全然そんな大袈裟なものではないのですが……」

侵入する時は呆然としすぎて気にならなかった高さが、今はとても怖くて足がすくむ。

「こらー! お前らなにやってんだ!?」
「げ!?」

懐中電灯を持った先生が怒鳴りながらこちらにダッシュしてくるのが見えた。

「早く!」

やばい。
モタモタしていたらふたりとも捕まってしまう。

「先に逃げてください……!」
「逃げるわけないだろ! 俺に飛び込んで!」

そう言って手を広げる北条君。

「大丈夫! 絶対受け止めるから!」

その言葉で勇気が出たのは事実だった。