エイティーンの契約婚

中学生でサービスを開発し、自身で会社を起こし、サラリーマンなど目にならないほど稼ぐ。

一体どんな強い気持ちがあったらそんな人生になるのか不思議だったが、根底に強い反抗心があるということなのかな……。

息子を結婚させるつもりでいたのに、当の本人がよく分からない女と結婚してたらさぞ驚くだろうし、政略結婚ならメンツ丸潰れで相手側も激怒、破談とかになる……?

見たこともない北条君の親の怒りの顔が浮かんで胃が痛くなった。

「君は俺のことふざけてるって思うかもしれないけど、俺には俺の地獄があってこの契約を持ちかけてる」

地獄――なにがこの人にそこまで言わせるの?
その理由を、少しだけ知りたくなった。

そして何故その相手が私なの?
まぁ、その理由は容易く予想できた。

まず、18歳で成人してる。その上、私には家族がいないから結婚も離婚も面倒がなく、罪悪感もなく、手っ取り早いと思ったのだろう。

普通に愛されて育った家庭の子じゃ、契約婚なんて罪悪感が強すぎるし……。

「今、なぜ私なのだろうって考えてる?」
「あ、はい……」
「五にも関わることだけど、君のその俺のプロポーズに全然乗ってこないところがとてもいい」
「え?」
「他のクラスメイトなら即イエスだよ」
「はぁ……そうなんですね」

すっごい自信家……口元がひくついてしまった。