「どういうことでしょうか? お金はまだまだ残っているはずでは……裁判所に提出している財産目録を見せていただけないでしょうか……!」
「ああ、いいよ。いくらでも見せてやるよ。待ってな」

自室に行って戻って来た伯父さまは『ほら』と言ってファイルを私に投げる。私はすぐにそれを拾い上げてチェックする。

「……!?」

目に飛び込んできたのは、予想をかなり大きく下回る数字だった。私が思っていた金額と比較するともはやゼロに近い。

私に必要な学費や生活費は父と母の保険金や遺族年金、父の退職金から支払われていた。後見人である伯父さまへの報酬も、そこから支払われていた。

小3から今まで、私にかかる費用を差し引いても、まだまだ残っていると思っていた。

だって私は贅沢なことなんかしていない。
学校は公立、塾も行ってないし、服もたまにしか買わないし、お小遣いも多くない。

贅沢していたならまだしも、絶対におかしい。
すぐにひとつの答えに辿り着いた。

「使い込んだのですか……!?」

もう、そうとしか思えなかった。

「そんなこと、許されるはずがありません……! 後見人が財産を使い込んだ場合、横領の罪になると聞いたことがあります!」
「人聞きの悪いことを言うな。そんなことするわけないだろ? この8年でお前の親の財産はなくなったんだよ」
「うそ、うそです……! 私が子供だからって誤魔化そうとしないでください……!」
「1年に一度収支報告、通帳の写しを家裁に提出している。それにお前が言ってるような犯罪行為を犯しているなら、とっくの昔に見つかって後見人を外されるか業務上横領でとっ捕まってるぞ?」

伯父さまの余裕の態度に気圧される。