「伯父さま。今日、無事に成人になりました。ここまで生きてこられたのは、すべて伯父さまのおかけです。本当にありがとうございました」

まずはお礼を伝え、深く頭を下げた。

「それで……伯父さまが繁忙期でとてもお忙しいのは承知の上ですが、後見終了の届はいつ出していただけますか? これ以上のご迷惑にならないようすぐに引越しも考えたいので、両親の財産の引き継ぎも早めにしていただけると嬉しいです」

家庭裁判所への報告と、10日以内に役場に届け提出が必須だ。そして私に財産の引き継ぎをしてもらう。

やっとこの話ができた。
3ヶ月くらい前からこの話をしようとすると決まってケムに巻かれたから、誕生日がきたというのに引越し先も何も決められていなくて私はかなり焦っていた。

「財産? そんなのはもうないぞ」

耳に届いた言葉に私は固まる。

「……え……?」

大学を出て、結婚するくらいまで生きていけるお金があると聞いていたが、ない……とは……?