カフェで映える写真をたくさん撮って、プリクラも撮ってほのぴと別れた。

私のバースデーケーキとして出してくれたプレート。
たっぷりのベリーが乗ったショートケーキというだけでも嬉しいのに『Happy Birthday MIO』ってメッセージとともに私の大好きなテディベアのキャラクターの『テディさん』が描かれていた。

可愛かったし、楽しかったし、泣いた。

ほのぴと撮ったツーショットをさっそく壁紙に設定。スマホを見るたび微笑んでしまう。

原宿から品川、横浜と乗り換えて数分。
一軒家が立ち並ぶ閑静な住宅街のエリアに私の家はある。
正しくは伯父さまの家、だけど。

ご近所と比較しても少しだけ大きいこの家。
こんなところに住めるのも、伯父さまが公認会計士という立派なお仕事をしているから。

「ふぅ……」

その反面、食費などは1円でも安く買うことを求められる。今日は特売日でたくさん買ったらずっしり重くなってしまった。

門をくぐってドアの前に立つ。
すぅ、と息を吸ってゆっくり吐いた。
これはちょっとした儀式だ。

視界を灰色にするため。
この家にいる時は、色があると思わない方がいい。

鍵を差し込みドアを開けた。
革靴が土間にあることを視認する。伯父さまの仕事について詳しくは知らないが、丸っと1日家にいたり、午後から家に帰って来て家で仕事をしている日も少なくない。

伯父さまの革靴と自分のローファーを靴箱にしまってから家に上がる。冷蔵庫の前に買ったものを置いてからリビングに向かう。

「伯父さま、ただいま帰りました」

パソコンを開いている伯父さまに声をかける。伯母さまは……毎週恒例のヨガに行ってるようだ。

「遊んでたのか?」
「はい、今日は誕生日なので、同級生の梶原穂乃果さんと、原宿のカフェに行きました」

誕生日という言葉を出したのは別に祝って欲しかったからじゃない。そんなこと、最初から求めてない。