「よし、原宿行こっか?」
「うん!」

私たちは気を取り直して駅へと向かって歩き出した。

「あ、美桜、そんでさっき北条とどうなったの!?」

そうか、みんなの中では私が腕を引っ張られて北条君と消えたところで止まっているから。

「あっ、えっと……冗談で、プロポーズ、された……?」
「は!?」
「冗談、冗談でだよ!?」
「あの野郎、冗談でも言っていいことと悪いことがあるだろッ!? 殴る!」

怒り、学校に引き返そうとしているほのぴの腰に抱きついて必死に止める。

「ほ、本気にしちゃいけないやつだから……! 落ち着いて……!」
「あいつ浮いた話ばっか聞くし! 今は1年の子と付き合ってるとかなんとかって!」
「そうなの? まぁそうだよね」

びっくりするくらい不思議じゃない。
だってスターだもん。

「美桜のことロックオンしたんか!?」
「それは、ナイナイ!」

アハハーって軽く笑って手を振る。

「美桜はお遊びで手出していい女じゃないんだから! 次なんかされたら言って!」

北条君が私を気に入ったとかなさすぎる。
隕石が当たるよりない。

「大丈夫、もう話すことないと思う。ね、それよりさ、カフェって――」

北条君は誕生日会が退屈で抜ける口実が欲しかっただけ。
同じクラスの陰キャをちょっとからかいたくなっただけ。
それだけ。

北条蓮君。
春の嵐みたいな人だったな。