10月の真っ青な空の下、子供たちの嬌声が聞こえてくる。


「はい、じゃあ十分に玉を転がすことができたかなぁ?」


大塚千明の言葉に小学生の子供たちが一斉に「できたぁ!」と、声を上げる。
千明はその光景に自分の頬が自然とほころぶのを感じた。

ここは勝町イキイキ公園。
無料で入場できるあめ公園と名付けられているけれど、いわゆる観光施設だった。
公園内では動物とのふれあい体験ができたり、レストランもある。

千明はここの従業員の1人で、入社2年目だった。


「みんな玉を持って施設内に戻りましょう」

「はぁい!」


赤や青や黄色の玉を持った子どもたちが親に連れられて体験施設の教室内へと戻っていく。
今やっているのはアイスクリーム作り体験だった。
玉の中にはアイスクリームに必要な材料が入れられていて、坂になっている芝生で転がすことで固まるようにできている。


「先生! どうして玉は冷たいんですか?」


玉は中央からパカリと割れるようになっていて、中は2層構造になっている。
内側の空間にアイスの材料を入れて、外側の空間にアイスを冷やし、固める材料を入れる。