相変わらず緩く着こなしたベージュのカーディガンに、緩く締めたネクタイ。

ボタンの空いたシャツの隙間からは、シルバーのネックレスが見えている。

片耳に付いているピアスの色も、同じくシルバー。

見慣れたはずのチャラいその姿が、何だか前よりずっと光って見える。



まじまじと見ていると、凪岐くんが口を開いた。



「なにその顔。俺だって遅刻しないときあるし」

「知ってる……」

「じゃあ何にびっくりしてんの」



”かっこよくてびっくりしてる”って、いつもの私なら口から出てたと思う。

だけどなんとなく恥ずかしくて、口を紡いでいると。



────ガバッ!



凪岐くんの背後から女の子が走ってきて、勢いよく凪岐くんの背中に飛びついた。



「……っびっくりしたー」

「あはは、ごめぇん」



その子は隣のクラスの、学年で1番かわいいって言われている女の子。

近くで見たのは初めてだけど、噂通り瞳がくりくりで、髪はふわふわで、すんごくかわいい。