「で、今日はなにすんの?」
待ちに待った、放課後デートが始まる。
すべての授業を終えた後、凪岐くんと下駄箱で落ち合った。
「今日は街で映画を見ます!!!」
「え、普通じゃん」
「だって、凪岐くん絶叫も辛いのも無理で、足つぼのおっちゃん今日仕事で……電気ウナギは危ないし」
「危ないってわかってたのかよ」
今日も今日とて、凪岐くんはかっこいい。
その大きな瞳が自分に向けられることにまだ慣れなくて、心臓がソワソワしている。
ゆるく着こなしたベージュのカーディガン。
その裾から見える細い指が、私の頭上に向かって伸びてきた。
「っ!」
どうやら凪岐くんは、私の乱れていた毛束を元に戻してくれたようだ。
とっくにわかっていることだけど、やっぱりこの人めちゃくちゃ女慣れしてる……。
それに、相変わらずとんでもなく色っぽい香りがする。