私なんかに付き合ってる暇があったら、先生と過ごした方がきっと有意義な時間を過ごせるもんね。
でも、だけど……
珍しくネガティブな思考に陥っていると。
「……明日、1回だけ付き合ってやるよ」
小さな声が、鼓膜に触れた。
うつむき気味になっていた視線が、弾かれたように持ち上がる。
「え、い、いいの!?」
目が合った凪岐くんは、かすかにえくぼを浮かべた。
「なにするか考えといて」
凪岐くんはそれだけ言い残すと、興奮状態の私を置いて教室を後にした。
宇宙人の考えていることはわからない。
だけど、宇宙人にも人の心はあったんだ……!
1人ぼっちになった教室。
急な展開にしばらくは頭が追い付かなかったけれど、じわじわと嬉しさがこみ上げてきて思わず声を上げた。
「やったー!!!」
ついに……ついに、キスへの第一歩を踏み出せたんだ。
そうと決まれば、明日のデートについて作戦を練り直さないと!!