次の日の昼休み。

一連のことをゆりちゃんに話すと。



「……あんた、バカ?」



ズバッと、一蹴された。



「だ、だってこんなにドキドキしたのは初めてで……」



中庭を見渡すことのできるウッドデッキ。

いつものここで、私とゆりちゃんは並んで座っている。

「凪岐くんに恋したかも」と打ち明けた瞬間から、ゆりちゃんはこれ以上ないくらいの呆れ顔で私の話を聞いていた。

そんなゆりちゃんはコッペパンを食べ終えたようで、空になった袋をきっちりと結んでいる。



「ドキドキしたから恋?あんた年々バカが増してんじゃないの」

「そ、そこまで言わなくても……!」

「キスシーンなんて目撃したらドキドキくらいするでしょ。そんなドキドキ、恋なわけないじゃん」

「だけどさぁ、」

「っていうか口止めされてんのに、話してどうすんの」



……やっぱり私は、どうしようもないバカらしい。

あんな写真まで撮られたくせに、凪岐くんと西條先生のこと、早々にゆりちゃんに話してしまった。



私は、隠し事のできない筒抜けの口を咄嗟に隠す。

やってしまった……。
 
今更口を隠したって、話してしまったことは取り消せない。