「今から本屋さんだなー。情報誌買って一緒に見よ。せっかくだから、初デートの場所にしたい」

「は……初デート」

「あれ、ごめん。もしかして、違った……?」

 急に焦り始めた青鷹君に笑顔で首を振ると、先に立ち上がる。ずっと握ったままの青鷹君の左手を引っ張って、私たちは温室から冷たい外へ出た。

 日も傾き薄暗い。しかし現実には引き戻されない、寧ろどことなくふわふわしている。

「初デート……楽しみ」

「ちせ、まだ行くとこ決めてないよ」

「でも、楽しみ。青鷹君は?」

「うん……めっちゃ楽しみ」

 大好きな海辺の街で、私は青鷹君としっかり手を握り合った。















─第五章 『プリムラ・オブコニカ』 終 ─