「……もうすぐ」 呟く言葉に、深過ぎる意味はない。 ──でも。 大丈夫かな。 ……よりも、楽しみだな。 こっちの感情が少しだけ勝っていて、勝ったままの状態が続き、迎えた当日。 「青鷹君、こんばんは」 「こんばんは、狭いけど、どうぞ」 これから、段々遅い時間に入る時刻。初めて青鷹君の車の助手席に乗せてもらうと、一緒に年越しをする場所へと出発した。星の輝く深夜への入口だった。 ─第三章 『アフリカスミレ』 終 ─