「……帰ろっか。青鷹君と話せて、良かったな」

 夜の街、微笑むちせのすぐ隣を歩いている。こんな状況になるなんて、九年間一度も思いもしなかった。

「あ……さすがにジェラート溶けてるね」

「色々と……申し訳ありませんでした」

「えぇ、わぁやめて……私が悪く聞こえるから」

 わざとクスクス笑うちせのこと、目を逸らさずに見れている。街の光が、来た時よりもやけに眩しい。


「ちせ」


 ホテルの入口でポソッと呼ぶと、ちせは小声で俺の名前を呼び返した。








─第二章 『コーンフラワーブルー』 終 ─