アンハッピー・ウエディング〜後編〜

非常に情けないことに。

寿々花さんと交代した途端、効率がぐんと上がった。

どんな力で潰してんの?って聞きたくなるくらい。

俺が一時間以上かけても、すり鉢の中身はほぼ全く変化しなかったというのに。

寿々花さんと代わって僅か30分ほどで、段々とすり鉢の中に粘りが出てきた。

すげぇ。

意地張らずに、もっと早くに交代を頼むべきだった。

「よいしょー。よいしょー」

30分が経過しても、寿々花さんは余裕の表情ですりこぎを動かしていた。

少しも疲れた様子はない。

寿々花さん、もしかしてモーターか何かで動いてる?

そんなはずはないので、少し休んだ方が良い。

「寿々花さん、代わるよ」

俺は、自ら交代を申し出た。

寿々花さんも、そろそろ疲れた頃だろう。

俺もまだ腕がダルいけど、でも休んだお陰で少し回復した。

もう一回頑張るよ。

「ふぇ?まだ大丈夫だよ。悠理君、休んでて良いよー」

「良いから。あんたも少しは休めよ。交代だ」

「あー」

俺は寿々花さんの手から、すり鉢とすりこぎを奪い取るようにして交代した。

折角二人居るんだから、交代交代、休み休みやろうぜ。

「30分くらいやったら、また代わってくれ」

「うん、分かったー。…二人の初めての共同作業だねー」

二人の初めての共同作業が、まさかのカカオ豆から作る手作りチョコレート。

人生って分かんないもんだなぁって。