アンハッピー・ウエディング〜後編〜

じゃ、お土産買って行こうか。

「寿々花さん、お土産どれにする?」

「うーん。どうしよっかなー」

面白いぞ、売り物のお土産。色んな種類があって。

選り取り見取りである。

折角だし、雛堂と乙無にもお土産、買っていってやろうかな。

何が良いだろう?

「悠理君、これ、ベニテングクッキーだって」
 
「あぁ…そうだな」

「赤い可愛い色だね。これにしようかな?」

「良いんじゃねぇの?」

気に入ったのがあって、良かっ、

しかし、寿々花さんはベニテングクッキーの箱を手に取って。

「…はっ!」

「ど、どうした?」

「ベニテングダケって、猛毒なんだった…。私、食べたら死んじゃうかもしれない…」

…今思い出したのか?

寿々花さんじゃなくても、人間なら誰でもベニテングダケは猛毒だよ。

この売店コーナー、キノコ博物館のお土産を売っているだけあって。

ベニテングクッキーを始めとして、タマゴタケチョコ、シメジチップス、など。

何かに付けて、この博物館に展示してあるキノコの名のつくお菓子が、たくさん売っている。

どれもこれも、キノコの形をしている。

しかし。

「大丈夫だ、寿々花さん。ワニクッキーの時もそうだっただろ?」

「ふぇ?」

「ベニテングクッキーって名前がついてても、原材料にキノコなんて使われてないよ」

ワニクッキーだって、ワニ肉は使ってなかっただろ?

ただそういう商品名ってだけで、中身は普通のクッキーだよ。

見たところ、このベニテングクッキー。

確かに見た目は毒々しくて、食べて大丈夫か心配になるが。

その実態は、赤色をしたストロベリークッキーに、イボに似せた白いチョコチップが散らしてあるだけ。

普通に美味しそうなクッキーじゃないか。

「大丈夫だ。安心して食べて良いよ」

「本当?やったー」

大体、本当に毒キノコを使ってんだとしたら、そんな商品は売れねーよ。

食べた人、全員が中毒になるじゃん。

他の商品、タマゴタケチョコにも、原材料にタマゴタケは使われてないし。

シメジチップス…は、一応、シメジパウダーなるものを表面に振り掛けてあるようだが。

シメジは元々食用に出来るキノコだから、これも食べて問題ない。

ちょっとシメジ風味のするポテトチップス、ってことだろうな。

…美味いのか?それって。

同じシリーズで、マイタケチップスとか、エノキダケチップスってのもある。

ふーん。面白そうだから、雛堂達へのお土産はこれにしようかな。

すると。

「悠理君、見て見て」

「ん?どうした」

「キーホルダー売ってるよー」

指差す寿々花さんの、視線の先には。

超リアルな、キノコキーホルダーのシリーズがずらり。

出たよ。「見聞広がるワールド」恒例の、リアルキーホルダーシリーズ。

爬虫類の館の時も、深海魚水族館の時も、お世話になったな。

今回のキノコ博物館の売店も、同じシリーズのキーホルダーが販売されていた。

爬虫類と深海魚は、大抵どれも気持ち悪かったけど…。

キノコなら、まだ何とか…。比較的まともっぽいんじゃないか?

爬虫類と深海魚がまともじゃない、みたいな言い方をするな。