アンハッピー・ウエディング〜後編〜

一方の寿々花さんは、俺とは違う感想をお持ちのようで。

「ふぇー。面白かったねー」

ご満悦の様子。

気に入ったのか?あれ…キノコ。

楽しむのは良いけど、ちゃんとレポートの為にメモ、取ったか?

純粋に鑑賞して楽しんでただろ。

…まぁ良いや。今日、勉強になることいっぱい知ったから。

多分、何とかなるだろう。

「お、そろそろ順路も終わりだな…。向こうにお土産物屋さんがあるぞ」

「見聞広がるワールド」お馴染みの土産物屋。やはりここにもあったな。

こうなったら、最後まで付き合ってやるよ。

…と、思ったら。後ろの方から。

「はぁ、はぁ。このキノコの美しい造形美。このカサの色、形、そして滑らかな質感が伝わってきそうなヒダ…。そしてそれらを支える、逞しい柄…」

「…」

激しく興奮した声が聞こえて、恐る恐る振り返ると。

入口付近で見かけたキノコガチ勢のあの人が、はぁはぁと息を荒くして、展示されているキノコを食い入るように見つめていた。

やべぇ…あの人、まだいたのか…。

「…俺はもう何も言わないからな…」

そのキノコガチ勢と一緒にいるもう一人は、まだ正常な思考を保っているようで。

ポツリとそう呟いて、キノコガチ勢の友人?相棒?を遠い目で眺めていた。

「何処を取っても素晴らしい。この博物館は天国か何かですか?年パス買って、毎日来ましょう!」

「…あるのか?ここ。年パス…」

…あったとしても、キノコ博物館の年パスなんて、ノリ以外で買う奴いるのか?

この人くらいのもんだよ。

「凄いね、悠理君。あの人。キノコに対する愛が凄いよ」

「あぁ…。見るからにヤバそうだもんな…」

「私も見習わないとなー」

見習わんで良い。

ああいう、見るからにヤバそうな人には、近寄らないのが吉。

俺は寿々花さんを引き連れて、急いでお土産売店コーナーに向かった。