アンハッピー・ウエディング〜後編〜

さて、お次は。

「おっ、シメジがある…」

お馴染みのキノコが来たな。

良いよ。さっきからコレラタケだのベニテングタケだの、猛毒キノコばっかり見せられて。

キノコに対する信用度が、段々下がってきたところだったから。

寿々花さんじゃないけど、このままじゃキノコ嫌いになりそう。

そろそろ馴染みのあるキノコを見て、キノコの信頼を取り戻したい。

「へぇー。これがホンシメジ…」

同じシメジの名はついているが、ブナシメジとは違うものなんだって。

こっちが本物のシメジなんだそうだ。

ブナシメジとはまた違う見た目だが、シメジという名前がついているだけで美味しそう。

何より、安心して食べられそうなのが評価高いな。

更にその横には、何やら強そうなニオウシメジという名の、超巨大なシメジまで展示されていた。

でっか。マジかよ。これもシメジなのか?

成程、仁王の名前を冠するだけのことはる。

いくらシメジという名前がついていても、これだけ大きかったら、さすがに食べるのは躊躇されるが…。

「へぇ…美味いのか、これ…」 

生で食べるのは駄目だけど、煮物や炒め物に合うって。

ふーん、さすがシメジ。

シメジの万能感たるや。

今日シメジ買って帰って、バター焼きでもどうだろう。

うん、美味しそう。

やっぱりキノコはこうじゃないとな。さっきから毒キノコばっかり見せられていたから、感覚が狂っ、

「ねーねー、悠理君見てー」

寿々花さんが、また袖を引っ張ってきた。

「何だよ。俺は今シメジの万能感に感動して…」

「面白いキノコがあるんだよ」

…面白いキノコ?

「緑色のキノコ」

「…」

…また、いかにも禍々しい、毒キノコっぽいのが来た。

折角、美味しそうなシメジで気分を紛らわせてたのに…。

「どれどれ…。ふーん、アイタケねぇ…」

「緑色で綺麗だねー」

寿々花さん、緑色好きだもんな。

なんかカビが生えてるみたいな色で、食べたらヤバそうだが…。

「癖のない味で美味しいって」

「食べられるのかよ、これ…」

カビ生えてそうなのに?

いや、いくら美味しいって言われても…。

勇気出してこのキノコを食べるくらいなら、俺はさっきのシメジを食べたいよ。

あるいは…。

「寿々花さん。あっちにマツタケとか…。おっ、エノキダケもある、」

「わーい。色んな色のキノコだー」

「あ、こら」

寿々花さんは美味しそうなキノコよりも、カラフルで珍しい色をしたキノコの方が気になるらしい。

ったく、このお子様は…。

と思ったけど、元々寿々花さんは、キノコ食べられないし。

スーパーで売ってるキノコよりも、このキノコ博物館でしか見られないような、珍しいキノコに興味があるのだろう。

俺は…毒々しいキノコばっかり見てたら、キノコに対する食欲が失せるから。

出来れば、何の面白みもない、でも安定の見た目と美味しさの、お馴染みキノコを見ていたいものだが…。

…ありきたりのものばっか見てたんじゃ、電車で一時間もかけて、ここまで来た意味がないもんなぁ。

エリンギ見たいならスーパーでも行けば?って話。

それに何より、寿々花さんを一人にする訳にはいかない。

…仕方ない。寿々花さんについていくとするか。