アンハッピー・ウエディング〜後編〜

例えば、そこの真っ白いキノコ。

市販されているエノキダケに似ていて、野菜炒めに入れたら美味しそうな見た目をしているのに。

「ドクツルタケだってよ…」

「毒キノコなんだね。わー、しかも猛毒だって」

あぁ。最悪死に至るほどの、ヤバい毒があるらしい。

内臓が破壊されて死亡、なんて書いてあるぞ。

怖っ…。こんな真っ白い見た目で、中身は相当腹黒なんだな。

今、俺結構上手いこと言わなかった?

それから、そこに展示されているキノコも。

見た目は一見ナメコみたいで、味噌汁に入れたら美味しそうだが…。

「コレラタケ…。…名前からして恐ろしいな」

コレラだぞ。そりゃ怖いわ。

見た目は全然無害そうなのにな。

「こっちも猛毒なんだって。コレラみたいな症状が出るって」

で、こちらも内臓を破壊されて死亡、だってよ。

こっわ。普通にナメコ食べるのも怖くなるからやめてくれ。

美味しそうに見えるからって、不用意にキノコを口に入れたら酷い目に遭う…どころじゃ済まないな。

外面は善人そうな人でも、家の中ではどんな暴君か分からない、ってことだな。

キノコで人間を語るな。

「悠理君、見て見て」

寿々花さんが、ちょいちょい、と俺の服の袖を引っ張ってきた。

何だよ。俺は今、ちょっとキノコと人間の世知辛い共通点について考えていたんだが?

「ワライタケだって。食べたら笑いが止まらなくなるのかな?」

ギャグ漫画とかでありそうだな。

まさか実在しているキノコだったとは。

だが、説明書きを読んでみたところ、ギャグ漫画とは程遠い。

「幻覚や精神錯乱を引き起こす猛毒…だって」

笑ってる場合じゃねーな。洒落にならん。

「へぇー。面白いねー」

「面白くはねーよ…」

「あ、見て悠理君。これ、本で見たことあるよ」

「どれどれ…。…ベニテングタケだと?」

出たな。毒キノコの代表格。

毒キノコと言えばこれ、って感じだよな。

名前は聞いたことあるけど、実物を見るのは初めてだ。

赤っぽい、オレンジ色っぽい笠に、イボみたいな白いブツブツ…。

…いかにも、って感じだな。

一見、カラフルで可愛らしい見た目だが。

このキノコに含まれる毒の強さは…。…最早言うまでもないな?

あー、怖い怖い。

更に、ベニテングタケとよく似た名前で別のキノコもあるらしく。

「こっちはイボテングタケ、だってー」

これまた毒々しい見た目。

色は普通の…シイタケやエリンギに似てるけど。

名前に「イボ」がついていることからも分かるように、笠の部分にブツブツとイボがくっついている。

エグい見た目してんなぁ…。

含まれている毒もエグいらしい。呼吸困難、昏睡だってさ。

イボのついたキノコって、基本的にヤバいのが多いって認識でOK?