アンハッピー・ウエディング〜後編〜

改めて、よくよく寿々花さんのおみくじを眺めてみる。

黒い太字の「大凶」には、さすがに驚かされるが…。

でも、それ以外の項目は。

今年の運気…上昇傾向。

恋愛運…望み叶う。

金運…変化なし。

学問…変化なし。

とのこと。

大体どの項目もこんな感じ。

…なぁ、これ本当に大凶か?

項目ごとの内容は、中吉〜大吉並みに良いことばかり書いてあるんだが。

凶である俺よりずっと良いじゃん。

金運と学問は変化なしだけど、寿々花さんの場合、このどちらも元々最高レベルに高いから。

変化がないってことは、これまでと同じ高い水準をキープするということであって。

…あれ?このおみくじ、めっちゃ良いじゃん。

大凶か?本当にこれ。大吉じゃん。

神様が悪戯のつもりで、寿々花さんに大凶のおみくじを掴ませたけど。

ショックを受けるどころか、寿々花さんがあまりにポジティブな解釈をするものだから。

神様も申し訳なくなったのか、各項目の運勢は良いものにすり替えてくれたみたいだ。

全然当てにならないじゃん。

やっぱり、日頃の行いって大切だなぁ。

…まぁ、何にせよ。

「おみくじなんて気にせず、今年もお互いベストを尽くして生きようぜ」

「大丈夫だよ。今年も悠理君と一緒に暮らせるなら、毎日幸せに決まってるもん」

何?その自信。

じゃあ何でおみくじを引いたんだ?

ただ引いてみたかっただけ、とか?有り得る。

そのくらいで良いんだよ。占いだのおみくじだの。

占いが良い結果だったら信じれば良いし、悪い結果だったら「たかが占いw」と馬鹿にすれば良い。

結局誰も分からないんだからな。先のことなんて。

お互い凶だの大凶だのに縛られず、平和に一年を過ごそうぜ。

…というのは、大吉を引けなかった人間の負け惜しみなんだけどな。