アンハッピー・ウエディング〜後編〜

お汁粉を堪能した、その日の夜。




「…なんか今日、寒いな…」

「寒いねー」

お互い、そろそろ部屋に戻る時間なのだが。

二人して、リビングから離れられない。

というのも、コタツから出たくない。

…あまりに寒過ぎて。

コタツってのは麻薬みたいなもんだ。やめたい、出たいけど抗えない。

ついうっかりうとうとと眠くなって、そのままコタツで寝たくなる。

恐ろしい機械である。

案の定、コタツの魔力に魅せられた寿々花さんも。

「ふわぁ〜…。寒いし眠いし、このまま…」

「おい、待て早まるな。コタツで寝るんじゃない」

寝るなら自分の部屋で。自分の部屋のベットで寝ろよ。

かく言う俺も、このまま眠気に任せて横になりたい衝動を必死に堪えている有り様なので。

やはり、コタツは恐ろしい。

「今夜はまた、特別な寒さだな…」

「今日から明日にかけて、今年一番のさいきょーかんぱ、ってテレビで言ってたよ」

「やっぱりか…」

だよな。寒いもん。

まだ12月なのに、1月下旬〜2月初め頃の、一番寒い時期みたいな。

さすがに今日は寒くて、コタツでアイスクリームという気分にもならない。

「雪、降ってんじゃねぇの?」

「降るのかな?」

「どうだろう…」

試しに、と俺は意を決して立ち上がった。

いつまでもコタツに甘えていてはいけない。自分に厳しく行こうぜ。

窓のそばに歩み寄り、カーテンを開けて外を見た。

すると、案の定。

「うわっ…。言わんこっちゃない。早速降ってるぞ」

「わ。ほんとだー」

外では、ちらほらと雪が舞い始めている。

成程。雪が降ってるのか…そりゃ寒い訳だよ。

「積もるかな?雪だるま作れるかな?」

雪が降って喜んでるのは、犬とちびっ子と寿々花さんくらいのもんだよ。

あ、それとスキーする人と…。

おおよそ大半の人にとっては、雪は嬉しいものではない。

道路凍るし。電車も止まるし。寒いし。危ないし。

雪だるまで喜ぶなよ。高校生が。

…まぁ、この辺は豪雪地帯って訳でもないし。

多分、積もると言ってもそれほどじゃないだろうし。大丈夫だろ。

…と、この時の俺は、事態を甘く見ていた。

「さぁ、寿々花さん。そろそろ部屋に戻って寝ようぜ」

「えー。コタツから出たくないー」

「我儘言うんじゃない。ほら、もう切るからな」

「あー」

コタツのスイッチを、無情にポチッ、と切ってやった。

実力行使あるのみ。

「悠理君は悪魔だ…。鬼だ…。死神だ…」

「悪かったな。今夜、暖かくして寝ろよ」

「…優しい悪魔だ…」

どっちだよ。