アンハッピー・ウエディング〜後編〜

…と、いう訳で。

本日のおやつは。

「はい、おまちどおさま、寿々花さん」

「わー。良い匂いだー」

コタツで大人しく、良い子に待っていた寿々花さんのもとに。

早速、出来上がったばかりのお汁粉を運んだ。

お餅の食べ方って色々あるけど、俺はやっぱりこれが一番だと思う。

我が家では粒あんを使うのが常なのだが…。

「寿々花さん、もしかしてこしあん派だったか?粒あん食べられる?」

たまにいるよな。あんこは絶対粒あん(orこしあん)しか認めない!っていう固い信念を持っている人。

俺なんかは、別にどっちも美味しいからどっちでも良い派なんだが。

もし寿々花さんがこしあん過激派だったら、このお汁粉は食べられないが…。

「…ふぇ?こしあん?つぶあん?」

過激派どころか、そのような派閥があることすら知らないご様子。

ある意味、一番の平和主義者だ。

「いや、良いよ…。あんこ、好きだっけ?」

「うん、食べられるよー」

「そうか、良かった…。じゃあ、どうぞ」

「わーい。いただきます」

熱いから、気をつけてな。

寿々花さんはお汁粉に箸を入れ、早速お餅を一口。

もち〜、と伸びる伸びる。

やっぱりつきたてのお餅は、市販のものとは一味違うな。

「ふぇ〜」

噛み切れないのか、びよーん、と伸びたお餅に四苦八苦している寿々花さん。

何だろう。本人は多分、めっちゃ困ってるんだと思うけど。

こうして見てる分には、凄く微笑ましい。

いつまででも見ていたい。そんな景色である。

食べ方、へったくそだなぁ…。

「むにむに。もぐもぐ。むにむに」

頑張れ。

「はふはふ…」

「よく噛んで食べろよ」

慌てて食べて、喉に詰まらせるなよ。

「うみゅ…。はふ。むにむに。ごくん」

「どうだ?」

「美味しい。これすっごく美味しいね、悠理君」

干し柿を最初に食べた時のように、寿々花さんの目がキラキラしていた。

なんとも分かりやすい人である。

「甘くてあったかくて、もちもちしてて美味しい」

「今日、外寒いからな…。あったかいものが良いと思って」

毎日寒いけど、今日の寒さはまた一段と…。

今のうちに、お汁粉で温まっておこうぜ。

「悠理君。悠理君も食べて」

「はいはい」

俺も、自分で作ったお汁粉を実食。

「どう?どう?美味しいでしょ?」

「うん、美味い」

…そう、これこれ。毎年食べてる味。

これを食べると、冬だなーって…。あぁ、年末だなーって思う。

もうそんな時期になったのか、って。

コタツ出した時も似たようなこと考えてるよなぁ。俺。

我ながら所帯染みてると言うか…年寄り臭い気もするが。

美味いんだから良いじゃん。なぁ?

寿々花さんも気に入ってくれたみたいだし、来年からも、これを我が家の定番にしようと思う。