アンハッピー・ウエディング〜後編〜

「はい、到着したよー」

「ありがとな…」

風呂掃除手伝ってくれるより、年賀状作りを手伝ってくれるより。

荷物を持ってくれる方が、よっぽど助かるよ。

じゃあ、早速荷物を開けてみようか。

カッターを持ってきて、慎重に段ボール箱を開ける。

すると、荷物の一番上に、メモのような手紙が入っていた。

その手紙を読んでみると。

「悠理君。お母さん、なんて?」

「えぇっと…。…干し柿気に入ってくれたみたいだから、また追加で送ります、だって」

「え、本当?じゃあ、これ干し柿なの?やったー」

まさかの、干し柿おかわり。

以前メールで「寿々花さんが干し柿を気に入ったらしい」と話したことがあるんだよ。

あれを覚えていて、それなら、ということで追加で送ってくれたんだろう。

有り難い。

あの干し柿、寿々花さんが予想以上にハマっちゃってさ。

干し柿って、季節の食べ物だろう?年中何処でも買える訳じゃないから。

食べられる時に、思う存分食べておこう。

それから、手紙にはもう一つ書いてあった。

「それから、お餅を送ります、だって」

「…おもち?」

多分、干し柿はついでで、こちらが本命だったのだろう。

「餅はさすがに知ってるだろ?」

「知ってるよ。毎年、たくさんの子供やお年寄りが喉に詰まらせて命を奪う、恐ろしい食べ物…」

「ちょっと待て、違う。そうじゃない」

いや、そうだけど。間違ってないのかもしれないけど。

でも、それだけじゃねーから。普通に美味しいし、よく噛んで食べたら安全だから。

「寿々花さん、お餅食べたことあるのか?」

「ある…と思うけど、もう何年も前だから、どんな味だったのか覚えてないや」

「そうか…」

和菓子って美味しいけど、若い人はあんまり食べないイメージ。

美味しくない訳じゃない。でもショートケーキときなこ餅を並べられて、どっちを食べたいかって言われたら…。

大抵の若い人なら、ショートケーキの方が良いです、って言うと思わないか?

まぁ、きなこ餅が好きな人は、その限りではないが。

趣味でケーキを作りました、という人はいても。

年末年始でもないのに、趣味で餅つきをしました、という人は見たことがない。

よっぽどお餅が好きじゃないと。

かく言う俺も、普段はあまり食べない。

しかし、年末になると話は別だ。

うちの実家は毎年、この時期になるともち米を買ってきて、家でお餅を作る。

だから、そのお裾分けだな。

「良かった。自分で作る手間が省けたよ…」

「えっ。お餅って自分で作るの?作れるの?」

「作れるよ。うちは毎年、自分の家で作ってた」

いつもなら俺が手伝うんだけど、今年は母さん一人だったから、大変だったろうな。

呼んでくれれば、手伝いに帰ったのに。

来年は手伝いに帰ろう。

「お餅つきするの?お月さまのうさぎみたいに?ぺったんぺったんって?」

「あ、いや…。ごめん、そうじゃなくてさ…。機械で撞くんだよ。餅つき機があるんだ。ホームベーカリーみたいにさ」

「ほぇー。そんな機械があるんだー」

そうそう。期待させてごめんな。

さすがに、月のうさぎみたいに杵と臼で餅つきはしない。重労働過ぎるだろ。

でも、機械があるからといって、全部機械任せには出来ない。

機械がついてくれたお餅を、切り分け、丸め、中にあんこ玉を詰めるのは全て手作業。

これがまた、年末の大仕事なのだ。