アンハッピー・ウエディング〜後編〜

ケーキを食べ始めて15分後には、俺も同じように、寿々花さんの取ってきたポテトフライを摘んでいた。

15分前の自分に教えてやりたい。

あんた、未来でポテト食ってんぞ、と。

二人で摘んでるもんだから、山盛り取ってきたポテトフライが、あっという間に空になってしまったくらい。

「美味しかったね、悠理君。ポテトフライ」

「あぁ…そうだな…」

「二回目取ってくるねー」

しかも、一皿では足らず、二回目を取りに行く始末。

「いや、待て。俺が取りに行ってくるから、寿々花さんは他のもの食べててくれ」

さっきまで散々、心の中でポテトフライを馬鹿にしていた贖罪の為にも。

今度は、俺が取りに行ってくるよ。

「本当?良いの?食べてて良い?」

「良いよ。思いっきり食べててくれ」

「わーい。やったー。チョコフォンデュ食べよー」

出た。贅沢の極みみたいなスイーツ。

俺も後で取りに行くかな。

折角ここまで来たんだから、今日くらいは持ち前の貧乏性を忘れて、思い切り贅沢をしたい。

そして、明日からはまた質素に生きよう。

俺は席を立って、ポテトフライを取りに行った。

ポテトフライだけじゃなくて、今度はチキンナゲットや、ポップコーンもお皿に入れた。

それだけではなく。

さっきまで馬鹿にしていたサラダも、別のお皿に盛った。

何で皆が、スイーツだけじゃなくてサラダやポテトフライを取るのか、ようやく分かった。

ケーキばっかり食べてると、段々口の中が甘ったるくなってきて。

ついつい、しょっぱいものを食べたくなるのだ。

成程、そういうことだったか。

ケーキもさ、美味しいんだよ。めちゃくちゃ美味しいんだけど。

2個、3個と食べてると、段々雲行きが怪しくなってくるって言うか。

口の中が甘さに慣れてきて、何を食べても甘ったるく感じてくるのだ。

それも考慮して、一応どのスイーツも、甘さ控えめに作られているのだが。

それでも、甘いものは甘い。

スイーツばかり食べていると、段々と毛色の違う…違う味の食べ物が恋しくなってきて。

たくさんフルーツの乗ったスイーツを食べたり、胡麻プリンなどを食べて口の中を誤魔化したりもしたが。

段々と我慢出来なくなって、ついポテトフライに手を伸ばしてしまった。

程よい塩味が、口の中のお砂糖を中和してくれるみたいな。そんなイメージ。

成程、皆それが理由で、塩がたっぷりかかったポテトフライとか、塩味のポップコーンとか。

ドレッシングのかかったサラダとかを、一緒にお皿に取っていくんだな。

ある種の口直しみたいなもの。

お陰で味覚が一定に保たれて、また甘いものを食べることが出来る。

スイーツだけ食べてりゃ良いのに、なんて考えてた俺は、頭が足りなかった。

馬鹿にして済みませんでした。ポテトフライめっちゃ美味しいです。

スイーツビュッフェの片隅に、こういうスナックとサラダコーナーを設置した人は天才だな。

客の求めているものを、よく分かってるよ。