アンハッピー・ウエディング〜後編〜

折角のクリスマスなんだから、もっと華やかな夢を見たいよな。

だが、実は俺も人のことは言えない。

というのも、俺も昨夜はろくでもない夢を見てしまったから。

「大丈夫だ、寿々花さん。そんな時もあるって。俺も昨日は悪夢だったから、お互い様だ」

聖夜に悪夢を見た者同士、傷を舐め合おうぜ。

「そうなの?…悠理君はどんな夢だったの?」

「そ…それは…」

きょとんと首を傾げた寿々花さんに尋ねられて、俺は返答に困ってしまった。

…言えない。

ピアスをプレゼントされた寿々花さんが円城寺に惚れて、「円城寺君と婚約し直して、今日から一緒に暮らすね」と言って。

寿々花さんが荷物をまとめてこの家から出て、円城寺のもとに行ってしまい。

俺は、一人置き去りにされる…という夢だった。

…な?最悪の悪夢だよ。

「べ、別に…そ、そんな話すようなことじゃ…」

「でも、悠理君も怖い夢だったんでしょう?よしよし、怖かったねー。もう大丈夫だよー」

と言って、寿々花さんは俺の頭を撫で撫でと撫で回してきた。

何をやってるんだか。

悪夢を見たのはあんただろう。

俺のは…確かに悪夢だけど…。…夢で良かったと切実に思った。

「そ、それより」

と、俺は強引に話題を変えた。

「今日の昼、ビュッフェだろう?ちゃと覚えてるよな?」

「うん、覚えてるよー」

それは何より。

「遅れないように支度してくれよ」

「うん。…やっぱり、朝ご飯は食べない方が良いのかな?」

うん?

「何で?」

「だって、お腹空かせておかないと」

あー、成程。

食べ放題に行く前は、一食くらい食事を抜いてお腹を空かせておく。食べ放題あるあるだな。

でも、あれって…。

「それ、あんまり効果がない…どころか、逆効果らしいぞ」

「え、そうなの?」

「お腹が空き過ぎた状態で食べ放題に行くと、ついがっついて食べちゃって、すぐにお腹がいっぱいになるとか…」

って、テレビか何かで聞いたことがあるな。

だから、控えめでも良いから、朝食は一応食べておくべきらしい。

「そうなんだ…。悠理君って物知りなんだね」

「いや、テレビの受け売りだから…。軽めに食べておこうぜ。干し柿とヨーグルトとか」

「わーい。朝から悠理君の干し柿が食べられるなんて、幸せだなぁ」

クリスマスの朝だっていうのに、俺の手作り干し柿くらいで幸せを感じているのは、あんたくらいだろうよ。