アンハッピー・ウエディング〜後編〜

翌日。クリスマス当日。

朝から、雛堂からメールが届いてたよ。

何かと思って開けてみたら、あけおめメールならぬ、メリクリメールだった。

『件名∶メリクリ☆ミ
本文∶変身アイテムがベジパープルじゃないってめっちゃ泣かれた\(^o^)/面倒くせぇ(⁠⁠;⁠∀⁠;⁠)
追伸∶無月院の姉さん、プレゼント喜んでくれた?』

だってさ。

流れ星だの顔文字だのでうるさい文面である。

そうか…。やっぱり、頼んでた変身グッズじゃないって泣かれたのか。弟さんに。

雛堂の奴、あんなに大変な思いをしてプレゼントを買いに走ったのに。

それでも不満をぶち撒けられて泣かれるんだから、報われないよな。

毎年そんな思いしてるのか。雛堂も苦労してんだなぁって。

あと、寿々花さんへのプレゼントはまだだ。まだ渡せてない。

いや、どうしようかと考えはしたんだよ。

サンタクロースからのプレゼントを装って、枕元に置こうかなーとか考えたり…。

普通に手渡しした方が良いのかなーと思ったり…。

あれ、枕元に置くのって、イブの夜からクリスマス当日の朝までなんだっけ?

それとも、25日の夜でも良いのか?

ちゃんと調べたことないから、分かんねぇや。

うちは大抵…24日の夜の間に、母が俺の枕元にプレゼントを置いててくれて。

25日の朝、目を覚ましたら、枕元にプレゼントを見つけて大喜び…という流れだった気がする。

他所はどうなんだろう。

でもさ、いくら同居人とはいえ。

夜中に部屋に忍び込んで、こっそりベッドの傍まで行って、プレゼントを仕込むって…。

なんか怪しい犯罪のグレーゾーンのような気がするから、躊躇われるんだよな…。

ともかく、今日中には渡したい。

起きてきたら渡すか…?それとも、ビュッフェから帰って渡そうか…。

…と、考えていると。

「悠理君、おはよ〜…」

噂をすれば何とやら、寝ぼけ眼の寿々花さんが起きてきた。

鳥の巣みたいに、髪の毛がくっちゃくちゃ。

あーあ…。寝相の悪いお嬢様だよ。

「おはよう。クリスマスの朝だってのに、酷い格好だな」

「うー…。だってね、昨日見た夢が…」

「夢?」

良い夢見ろよ、って心の中で送り出したんだが?

「知らない人に突然拉致監禁されて、地下室みたいなところに連れて行かれて…」

「…」

「そこで、頭が変になったおばさん姉妹に可愛がられて、ずっと閉じ込められる夢だったんだよ」

…あんたって人は、聖夜になんつー恐ろしい夢を見てるんだ。

「他にも何人も閉じ込められた人がいてね、その人達と一緒に傷を舐め合ってた」

「そうか…。そりゃヘビーな夢だな…」

「その後、脱出に成功するんだけど…」

おっ、脱出出来たんだ…。

それじゃあ、悪夢の中にも一応ちゃんと救いが、

「脱出した後も、今度は世間の目に晒されて辛い思いをする、っていう夢だった」

「やっぱりヘビーだな…」

何?その世知辛い現実みたいな夢。

妙にリアリティがあって、むしろそれが怖いんだけど?