アンハッピー・ウエディング〜後編〜

「悠理君、来てくれたんだね。ありがとー」

と言う、寿々花さんの言葉も俺の耳には届いていなかった。

じろじろじろ、と目の前に立つ寿々花さんの姿を、それはもう舐め回すように見つめていた。

頭、胴体、足、足、胴体、頭、の順に繰り返し全身を眺める。

…成程、そう来たか…。

「…?悠理君、どうしたの?何だか視線がきょろきょろしてるよ」

「悪いな、無月院の姉さん。さっきから悠理兄さん、めちゃくちゃ挙動不審なんだわ」 

無言の俺に代わって、雛堂がそう説明した。

「そうなの?何で?」

「そりゃああんた、姉さんのメイド姿が気になって仕方なかったんだよ。ただでさえ美人な姉さんが、メイド服なんて際どい服を着たら、変な男に絡まれるかもしれないだろ?それが心配で、旧校舎から飛んできたんだから」

雛堂。余計なことまで言うんじゃない。  

「にしても、やっぱり無月院の姉さんは超絶美人だな。なぁ、悠理兄さんもそう思うだろ?」

「は、はぁ…?」

「折角のご対面だぞ?似合うって言ってやれよ」

な、何を言って…。

すると、寿々花さんも。

「本当?似合う?悠理君、見て。私の服似合う?可愛い?」

その場で、くるんと一回転して見せる寿々花さん。

そりゃまぁ…なんつーか…うん。

「…えっと…まぁ、可愛い…んじゃねぇの?馬子にも衣装って言うか…」

しどろもどろ。

「だってよ。素直じゃねーなぁ…。リア充爆発してくれねぇかなー」

雛堂は何を言ってるんだよ。

自分から話を振っといて。