アンハッピー・ウエディング〜後編〜

つまり、慣れないことはやめとけ、ってことだな。

分かったよ。

「ありがとうな。…参考になったよ」

「ううん、どういたしまして。私こそ、毎日色んな美味しいカレーを食べられて幸せだった…。…けど」

…けど?

…そろそろ飽きたから、普段の食事に戻してくれって?

「…さっき、悠理君のいつものカレーが一番美味しいって言ったけど…」

「?やっぱり違ったか?」

「ううん。一番美味しいのは変らないよ。でも…一回、オムライスみたいなカレーを作ってくれたでしょ?」

「…オムカレーのことか?」

「あれもね、負けないくらい美味しかった」

「…あ、そう」

あんた、オムライス好きだもんな。

じゃ、オムカレーもメニューに加えようかな。

「でもね、やっぱりどれも美味しいから。どれでも大繁盛すると思うよ。悠理君のご飯はいつも、どれも美味しいもん」

「はいはい。そりゃどうも」

こちらこそ、何を作ってもいつも美味しいって言いながら食べてくれて、ありがとうな。

お陰で、毎日作り甲斐があるよ。

「それに、悠理君がこんなに毎日頑張って、練習してるんだもん。凄いね、偉いねー。よしよし」

「ちょ、撫でんなって」

「悠理君が頑張ってるの、私知ってるからね。いつも見てるから」

…あ、そう。

唐突にむず痒いこと言ってくるよな…この人。

無自覚なんだろうけど…。

…でも、そう言ってもらえると、やっぱり素直に嬉しいし…励みにもなる。