アンハッピー・ウエディング〜後編〜

人生初、乙女ゲームの始まりである。

舞台は普通の高校で、主人公は高校二年生の女の子。

寿々花さんと同い年かよ。

嬉し楽しい高校生活を送りながら、卒業までに男を取っ替え引っ替えして、最終的に特定の男とくっつくのがゲームの趣旨であるそうだ。

主人公は毎日、部活だの勉強だのバイトだのをこなして、優しさ、賢さ、器用さなどのパラメータを上げる。

この性格パラメータが一定数に達したら、攻略がスムーズに進むらしい。

主人公の女の子も、ある程度人間としてのポテンシャルが高くないと、男に相手にしてもらえないってことだな。

世知辛い世の中だ。

しかも、攻略したいキャラによって、必要になるパラメータが違うそうだ。

で、寿々花さんが目指すのは、その中のヤンキー風イケメンの攻略。

このヤンキー風イケメンを攻略する為に必要なパラメータは…。

「えぇと…。主人公の優しさ、器用さ…それから学力もそこそこ必要みたいだな」

攻略目的じゃなくても、人間として必要なパラメータだと思うけど。

「そっかー。えっと、優しさを上げるには…」

「優しさは花の水やり、器用さは編み物…。学力は図書館で上げられるらしいぞ」

「じゃあ、お花に水あげよーっと」

毎日の放課後の自由時間に、ひたすら花の水やりと編み物に励み。

そして図書館に行って、学力も上げる。

その合間に、所持金確保の為にバイトもこなす。

学校だから当然試験もあるし、部活にも所属しているから、週に1〜2回は部活にも顔を出し。

女友達にも遊びに誘われたり、課外活動だのボランティア活動だの、やることは山積み。

毎日が超忙しい。

ゲームでさえ忙しい毎日を過ごすなんて…。何だか世知辛いな。

「放課後の水やりで優しさが上がるのかー。悠理君が優しいのは、お花の水やりをしてるからかな?」

「それは関係ないだろ…。水やりで優しさが上がるなら、小花衣先輩なんか優しさカンストしてんじゃん」

男を落とす為に優しさを上げ、器用さを磨くとは…。

なんか、本末転倒な気がするなぁ。

それが乙女ゲームってもんなのか?

更に、毎日のパラメータ上げに加えて、野郎共を攻略する為に何より大事なことがある。

そう、攻略キャラとのデートである。

これをやらないと好感度が上がらない。

「あ、見て。デートに誘えるって」

「…デートねぇ…」

…なぁ、今思ったんだけどさ。

順序逆じゃね?

デートって、付き合う前にやるもんじゃねーだろ。

付き合ってからやるものだろ?

何でまだ友達の段階で、普通に二人っきりで休日デートしてんだよ。

距離感近くね?最近の高校生って、この距離感普通なの?

しかも、デートは休日ごとに誘えるシステムなので。

今週はヤンキーイケメンとデート、来週はインテリイケメンとデート、再来週はチャラ男イケメンとデート、みたいに。

毎週違う男と、二人っきりでデートが出来るのである。

この主人公、尻軽過ぎないか?

応じる男の方もどうかと思うけどな。

まぁ、その辺の一般常識をゲームに求めるのが間違いというものだろう。